現場で出逢った小さな命 ― 看板猫「シャア」と「セイラ」の物語(第6話)

でんきのひがき屋ブログ

去勢手術の日——男同士の静かな共感

去勢手術の日は、たまたま僕の休みの日でした。
確か日曜日だったと思います。

朝から少し落ち着かない空気が家の中に流れていました。
いつもなら元気に「にゃー!」と鳴きながら足元をちょろちょろと動き回るシャーピンも、
この日はなんとなく静か。

彼なりに、何かを感じ取っていたのかもしれません。
妻も少し緊張した面持ちで、キャリーバッグを準備していました。
「シャーピン、頑張ろうね」と優しく声をかけながら、毛布をそっと中に敷いてあげます。

キャリーバッグの中で小さく鳴くシャーピンに、「大丈夫、大丈夫。すぐ帰ってこれるからな」と声をかけながら、診察室へ入っていく小さな背中を見送りました。

先生からは「夕方18時過ぎにお迎えお願いします」とのこと。
半日預ける“半入院”のような形です。


🕕 長い一日、そして18時の再会

家に戻っても、心ここにあらず。
「今どうしてるかな」「怖がってないかな」と何度も時計を見てしまいました。
いつもならゆったりと過ごす日曜も、この日は妙に長く感じます。

いつもの居間の静けさが、やけに寂しく感じるんです。
猫が一匹いないだけで、家ってこんなに静かなんだなと思いました。

午後になると、妻と自然にシャーピンの話ばかり。
「ちゃんと麻酔効いたかな」「痛くないかな」「お腹すいてないかな」
そんなことを言いながらも、心のどこかで「無事に帰ってきてくれ」と祈っていました。

そしてようやく18時。
車を走らせ、少し早めに病院へ向かいます。

待合室のドアを開けると、消毒液の匂いと、診察を待つ他の犬や猫たちの鳴き声が混じり合う。
心臓がドクン、と大きく鳴りました。

先生の「無事に終わりましたよ。ちょっとしょげてるけど大丈夫です」という言葉に、
胸をなで下ろしました。

キャリーの中のシャーピンは、いつもの元気がなく、どこかしょんぼり。
それでも僕の声を聞くと、ゆっくりと尻尾を動かして応えてくれました。


💭 男同士、通じ合う何か

あのときのシャーピンの表情は、今でも忘れられません。
どこか「自分に何が起こったのか分からない」という戸惑いと、
“男としての誇り”をどこかに置いてきたような、
そんな寂しさを感じました。

男同士、なんというか…その気持ちが痛いほど分かるんです。
シンボルがなくなってしまった喪失感というより、
「もう以前とは違う自分なんだ」と感じているような、
静かな哀愁のようなものがありました。

小さな体から、言葉ではない“感情の波”のようなものが伝わってきて、
僕はただ「よく頑張ったな」と心の中でつぶやくしかありませんでした。


🐱 カラーって大変…!

傷口を舐めないように、エリザベスカラーをつけての帰宅。
猫はヒゲで自分の通れる範囲を判断しているといいますが、このカラーはヒゲよりずっと外まであるので、歩くたびに家具や壁にゴンゴンぶつかるシャーピン。

「ごめんな、狭い家で余計にぶつかるな…」と声をかけても、シャーピンは諦めたようにトボトボと歩くだけ。

トイレの砂を掻こうとしてもカラーが邪魔で、部屋の中はあっという間に砂だらけ。
その姿に思わず笑ってしまったけれど、同時に「本人が一番ストレスだよな」と胸が締めつけられる思いでした。

翌朝、ゴンゴンぶつかりながらも、しっかりご飯を食べる姿にホッと一息。
盛大に砂を撒き散らしながらトイレも完了。
「水がまだ飲みづらそうだね。ちょっと工夫してあげよう」と、妻と話しながら対策を練る。
家族の会話の中心は、完全にシャーピンでした。


🧠 人間の都合、猫の気持ち

雄と雌を一緒に飼うというのは、本当に難しい。
そして、人間の都合で“去勢”という選択をすることへの葛藤もありました。

けれど、これが彼らにとっても最善の形なのだと、自分たちに言い聞かせるしかありませんでした。

僕は思います。
こういう“命に関わる選択”をするとき、人間が「守るために決めた」と思うのは簡単だけど、実際は“奪う”ことも含まれている。

でも、その中で生まれる絆があるのも事実なんです。
あの日以来、シャーピンは本当に甘えん坊になりました。
まるで「僕はここにいるよ」と確かめるように、膝の上に乗ってくる回数がどんどん増えていったんです。


💗 小さな体が教えてくれたこと

去勢手術のあと、シャーピンの目つきが少し変わりました。
どこか優しくなったような、安心したような表情。
それを見て、僕は不思議と「これでよかったんだ」と思えたんです。

人間の勝手な決断の中にも、こうしてまた新しい関係が生まれる。
そして、それは確かに“家族”としての一歩だった。

今では、夜になると僕の隣で小さく丸まり、喉を鳴らしながら眠るシャーピンを見るたびに、あの日の静かな病院の帰り道を思い出します。

あの時、キャリーの中からじっと僕を見つめていた瞳。
「帰ろうか」と言った瞬間、かすかに揺れた尻尾。
たったそれだけのやり取りが、言葉以上の“信頼”を教えてくれました。


💰去勢手術にかかった費用メモ

助成金2,000円を差し引き、実費は13,400円。
病院によって差があると思いますが、明細を見ると麻酔代の割合が高め。
化膿止めの注射もしてもらえたので、服薬は不要でした。


🐾 まとめ

・手術の日は日曜、家族で一緒に見送れた
・半日預けて、18時に無事お迎え
・カラー生活は大変だけど、絆が深まった
・去勢への複雑な気持ちと、新しい甘えん坊の姿

小さな体で頑張ったシャーピン。
あの日を境に、確かに「家族の絆」がもう一歩深まった気がします。


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