電気工事士が教える「暖房器具の正しい選び方」

でんきのひがき屋ブログ

──こたつ、ストーブ、エアコン…その暖かさ、本当に安全ですか?

寒さが一気に深まるこの季節。
こたつや電気ストーブを出して、家族団らんを楽しむ方も多いのではないでしょうか。

ただ、その“あったか時間”の裏には、意外と知られていない電気の落とし穴があります。
特に「ブレーカーが落ちないから大丈夫」と思っている方は要注意。

この記事では、現役の電気工事士として、暖房器具を安全かつ効率的に使うための選び方を解説します。


🔌 暖房器具のタイプと特徴を知ろう

まずは、代表的な暖房器具の特徴をざっくり整理しておきましょう。

種類特徴電気代の目安(1時間)向いている場所
エアコン広範囲をムラなく暖める。省エネ性が高いが霜取り運転で止まることも。足元が温まりにくい。約15〜30円リビング・寝室
電気ストーブ即暖性が高い。小スペース向け。火災の危険がある。約30〜40円脱衣所・足元
オイルヒーター空気を汚さず静音。じんわりとした暖かさ。安全性が高い。約25〜35円寝室・子ども部屋
こたつ体の芯を暖める。電気代が安く、家族団らんにも◎約5〜10円リビング・座敷
ホットカーペット床から暖めるため足元が冷えにくい。部屋は温まらない。約15〜25円リビング・和室

※電気代は消費電力600〜1200Wを想定。1kWh=31円で計算。

「早く暖まる」「静か」「乾燥しにくい」など、それぞれに得意分野がありますが、実は電気の使い方という観点から見ると、選び方がまったく変わってきます。


⚠️ コンセント1か所=1500Wまで

ここが一番大事なポイントです。

多くの方が勘違いしているのですが、コンセントは「1口」ではなく「1か所(2~3口合わせて)」で1500Wが上限です。

つまり──
こたつ(700W)+電気ストーブ(800W)=合計1500W。
これを同じコンセントで使うと、ほぼ限界です。

それでもブレーカーが落ちない場合、「まだ余裕がある」と思ってしまう方も多いですが、実はそれが最も危険な状態なんです。

プラグやコンセントの内部が発熱し、樹脂が焦げて「溶け始めているのに気づかない」ことがあります。
焦げ臭いニオイや、コンセント周辺の変色を見つけたら、すぐに使用を中止してください。


⚡ ブレーカーが落ちない=安全とは限らない

最近の住宅は、各部屋の回路が細かく分かれているため、分電盤の子ブレーカー(20A)が落ちにくい構造になっています。

つまり、ブレーカーが落ちないのは“安全だから”ではなく、落ちにくくなっただけ

これを知らずに電気ストーブ・ホットプレート・ドライヤーなどを同時に使うと、コンセント部分だけが先に過熱してしまいます。

実際、現場では「壁の中の配線が焦げていた」というケースも少なくありません。
ブレーカーより先に、コンセントやコードが限界を迎えるのです。

個人的には、ここは法改正が必要なレベルだと思っています。


🔥 「暖まる早さ」と「電気代」は比例しない

次によくある誤解が、「電気代=暖かさの強さ」という思い込みです。

たとえば、電気ストーブはつけた瞬間に暖かいですが、
部屋全体を暖めようとすると電気代が跳ね上がります。

一方、オイルヒーターはじんわりと時間がかかるものの、室温を一定に保ちやすく、結果的に省エネになります。

また、エアコンは効率が最も高い暖房器具ですが、外気温が0℃を下回る地域では霜取り運転が頻繁に入り、「一番寒い時に止まる」という現象が起きます。

寒冷地では「寒冷地仕様」のエアコンを選ぶのが鉄則です。


🧰 シーン別・おすすめの使い分け

  • リビングで家族団らん → こたつ+エアコン(室温維持)
     → こたつ単体よりも効率的で、設定温度を2〜3℃下げても快適。
  • 脱衣所や洗面所 → 小型セラミックヒーター(短時間使用)
     → 湿気が多いため防水対応タイプを選びましょう。
  • 寝室 → オイルヒーター or 電気毛布
     → 火を使わず静音。寝ている間も安心です。
  • パーティー時 → ホットプレートと暖房器具は別回路で!
     → 別の部屋のコンセントであれば、別のブレーカーにつながっている可能性があります。延長コードで引く場合は1500W対応コードを厳守。

💬 電気屋のひとこと

ブレーカーが落ちるのは、「危険を防ぐための最後の砦」です。

落ちないことは一見便利ですが、その陰でコンセントやコードが静かに焼けていく──。
そんな現場を、これまで何度も見てきました。

暖房器具は、どれを選ぶかより、どう使うかが命です。
電気は目に見えませんが、ルールを守ればとても安全で便利なエネルギー。

今年の冬は「電気代」「暖かさ」だけでなく、
“安全”という視点でも暖房器具を見直してみてください。


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