忘れられない冷や汗の体験
僕が電気工事士になって約5年ほど経った頃のことです。
当時はスーパーの家電製品の配達・設置を担当し、会社のトラックで一人で現場を回ることも多くなっていました。
真夏の繁忙期、エアコンの取り付けは1店舗で1日30台、40台という日もあり、二人で作業する余裕などありません。
それでも「お客さんに喜ばれる仕事」をしていることが嬉しく、少し天狗になっていた時期でもありました。
危うい追加工事
その日も8月の強い日差しの下、いつも通りに道具を台車に積み込み現場へ。
訪問先はマンションの高層階。追加工事として、室外機を天井に吊るす作業が必要だと判明しました。
本来なら二人以上で対応するべき作業。しかも金具の取り付け方向が特殊で、配管のつなぎ口はベランダの外側に。
「危ないかな…」と一瞬よぎったものの、当時25歳の僕は「一人でもできる」と思い込み、作業を続けてしまったのです。
子供たちの憧れのまなざし
室内機を取り付け、いよいよ室外機を吊り込みます。
夏休み中の小学生の兄弟が、興味津々でこちらを見守っていました。
「すげー!」「かっこいい!」
そんな声援に後押しされるように、僕は一人で室外機を持ち上げ、金具に固定。
子供たちの目はヒーローを見るように輝いていました。
その視線に気を良くしていた僕は、無事取り付けを終えた安堵感と、どこか誇らしい気持ちでいました。
突然の出来事
最後の仕上げは、配管の接続。
3尺の脚立の天板に乗り、ベランダから身を乗り出して作業を進めていたその時です。
背後から突然、奇声をあげて走ってきた子供たち。
ドンッ!
脚立にぶつかった瞬間、僕の体はバランスを失い、空中に投げ出されました。
ここは13階。視界がスローモーションのように流れていきます。
「落ちる…」
そう思った瞬間、左腕の時計が金具にかすかに引っかかり、わずかに体勢が止まりました。
反射的に右手を伸ばし、なんとか金具を掴むことに成功。
辛うじて落下を免れたのです。
命を守った「偶然」
一部始終を目にしたお客様は真っ青。
子供たちは叱られて泣き出しました。
「僕の責任です。あまり叱らないであげてください。」
そう伝えつつ、急いで車に戻り、安全帯を持ってきました。
手の擦り傷だけで済んだのは、まさに偶然の幸運。
学んだ教訓
この出来事で、僕は「安全とは何か」を痛感しました。
守らなかったルールは数えきれません。
- 天吊り作業は2人以上で行うこと
- 脚立の天板に乗らないこと
- 高所作業では安全帯を必ず使用すること
- 単独作業で無理をしないこと
ヒーロー気取りでルールを軽んじた代償は、ほんの一歩間違えば命を失う重大な事故につながるものでした。
おわりに
あの日の体験は、今も忘れられません。
「安全第一」という言葉は、単なるお題目ではなく、現場で生き抜くための絶対のルールだと知った瞬間でした。
もしあのとき腕時計がなかったら…。
そう考えると、背筋が凍ります。
安全を軽視しないこと。
それが、僕が現場から得た一番大きな学びです。
🔧 最後まで読んでいただきましてありがとうございます
東京都足立区の電気工事店「でんきのひがき屋」の檜垣(ひがき)がお届けしました。
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